食文化のこと

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西洋では、どの国でも食器は統一されているのが正式なディナーの風景である。だから「テーブルコーディネート」が大切にされる。日本では料理に合わせて食器を選ぶ。テーブルコーディネートという発想がない。
洋食器は、家庭にワンセットあれば足りるのだが、和食器はそうはいかない。多様な料理に合う多様な食器が求められ、一つずつ手作りの陶器が多様に準備される。
だから華麗なテーブルコーディネートはなく、折敷と箸と箸置きが美しくそっと置かれる。
季節に合わせて、女性は小振りな茶碗を、子供は子供の箸や食器が準備される。季節に合わせて食材も選ばれる。骨を外して食べやすく整えられるから食器の上でナイフを使うこともないし、スプーンさえ要らないのだ。
碗を口に運び、唇に触れるから木と漆の食器が育った。中国では碗には口を付けてはいけないという。だから匙があるのだという。西洋では皿の上で金属製のナイフを使いスプーンを使う。日本の文化の象徴のように、日本は箸だけで木でできた食事をとることができる。
僕たちは世界の食のことを考えながら、それぞれの文化の上に国際化を考えている。
2022/09/02 配信