人と 木と ひととき
Hito to Ki to Hitotoki
小玉 文
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伝統を未来に受け継ぐこと
木桶仕込みの日本酒は、日本が世界に誇る伝統的な酒文化のひとつです。しかし現在、大型の木桶を作ることができる会社は日本に1社しかなく、後継者不足も深刻な状況です。新潟の今代司酒造では「次の百年に大型の木桶文化を残したい」という想いで、2019年に4,000リットル級の大型木桶2基の導入を決めました。
今代司酒造の社員自ら制作に参加したこの大型木桶で仕込んだ日本酒は、「人と 木と ひととき」と名付けられました。「休」という漢字は「人」と「木」、人が木に寄ってやすむ様子から生まれた会意文字です。木は、昔から人にとってなくてはならない存在でした。
ラベルは、この大型木桶の杉の杢目をトレースしてデザインしました。熱加工を加えると半透明になる「パチカ」という特殊な紙を使うことで、立体的な杢目の凹凸を再現することができました。
木桶仕込みの日本酒は、ほんのりと黄色いことが特徴です。シンプルな白い杢目のラベルはこの淡い色を引き立て、半透明の部分から透けて見えるほのかな色を楽しむことができます。
ぜひこの日本酒を、実際に手に入れて飲んでみてください。大型木桶の日本酒文化を後世に残すことの大切さを、体感して、納得していただきたいと考えています。
design:小玉 文 + BULLET Inc.
client:今代司酒造
printing:コスモテック
photo:吉川 慎二郎